震災が起こった後に避難所で問題となる「エコノミークラス症候群」ですが、避難生活を送る時間が長ければ長いほど深刻な事態を引き起こします。

そこで、ここでは避難時のエコノミークラス症候群の予防法についてまとめます。

避難所で起こるエコノミークラス症候群

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エコノミークラス症候群は、飛行機で長時間移動したあとに空港について歩き出した途端、呼吸困難やショック症状を発症し最悪の場合には死に至るケースが多いことからこの名前が付けられました。

長時間イスに座っていることにより足の血液の流れが悪くなり、血管の中に血の塊(血栓)ができ、その血栓が立ったり歩き出したりしたことがきっかけで血液中に流れ、肺の動脈を詰まらせて(閉塞)しまいます。

エコノミークラス症候群は「急性肺血栓塞栓症」と言う病名がついていて、飛行機のエコノミークラスに乗っていなくても、長時間足を曲げていたり座っていることで起こる病気です。

避難所でエコノミークラス症候群が起こる原因

避難所でエコノミークラス症候群が起こるのには、大きく6つの原因があります。

  • 睡眠中に足が伸ばせないなどの窮屈な姿勢が続く
  • トイレを我慢するために水分摂取を我慢してしまう
  • 栄養の偏った食事
  • 精神的な疲れ、ストレス
  • 運動不足
  • 体質

エコノミークラス症候群が起こる原因はこの6つが大きく影響していますが、簡単な曲がれをイメージしておきましょう。

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画像引用元:大塚製薬ホームページ『旅行者血栓症(エコノミークラス症候群)の原因と予防法

避難所で起こるエコノミークラス症候群の実態

では、実際に震災で被災した人たちの中でどれくらいの人がエコノミークラス症候群を発症しているんでしょうか。

宮城県立循環器・呼吸器病センターの柴田宗一主任医長は東日本大震災の際に、避難所でエコノミークラス症候群の調査を行っています。そしておよそ1ヶ月間、宮城県石巻市などの避難所21か所を回って、高齢者269人を対象に超音波で血栓の有無を調べました。

その結果、約24%の65人の足に静脈血栓が見つかり「軽度のエコノミークラス症候群」と診断されました。

柴田医長は「血栓があった人の半分は自覚症状がなかった。本人が気付かない間に進行して血栓が肺に流れ込めば1時間程度で亡くなることもあるのがこの症候群の怖さだ」と話しています。

避難所でエコノミークラス症候群にならないための予防と対策

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エコノミークラス症候群が起こりやすい人は体質的な問題もありますので、以下に当てはまるものがあれば注意が必要です。

それでは、エコノミークラス症候群にならないために、どういった予防・対策をすればいいのでしょうか?

水分補給をこまめに摂る

人に必要な水分は1日あたり約3Lと言われています。避難生活中は飲料水の確保自体が困難なこともありますが、少しでも小まめに「のどが渇く前に」水分補給することを心がけましょう。

また、脱水を招く恐れのあるアルコールやコーヒーはなるべく避けるようにしましょう。

自宅避難をしている場合には、水道が止まっても常温で使用できるウォーターサーバーなどがあると便利です。

避難中はトイレを我慢してしまう人が多く見られますが、トイレを我慢しなくていいように水分補給を我慢してしまうと大変危険ですので、特に足腰が弱ってきている高齢者がいる場合は、周りの人が注意して見守るようにしましょう。

適度な運動とマッサージ

大切なのは「長時間同じ姿勢を取らないこと」です。

ですから激しい運動などをしなくても、散歩をしたりストレッチをしたり、ラジオ体操をするくらいで十分です。

そして、イスに座りながらでも足を動かしたり、足の指を動かすことでエコノミークラス症候群を予防することができます。以下のイラストにわかりやすくまとめていますので覚えておきましょう。

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画像引用元:NHKオンライン『防ごう! エコノミークラス症候群

足を伸ばして寝ることができる場所の確保

先日の熊本の地震では車中泊をする人が多くいました。

自宅は倒壊の恐れがあり危険、避難所は大勢の人たちで溢れかえっていてプライベートを確保する空間はありません。

では、どうやって足を伸ばして寝る場所を確保すればいいのでしょうか?

車中泊専用のマット

車中泊をしようとすると、シートを倒したとしても座席や段差などでデコボコして寝にくいと言う声を多く聞きます。

そこで少しでもその段差をなくすために、車中泊専用マットを利用するといいでしょう。専用マットの中には使用する際に空気を入れるタイプのものもありますので、使用しないときには置き場所に困りません。後部座席の足元や荷台に乗せておくと邪魔にならずにすみます。

大きな自動車への買い替え

燃費や車両価格などを考えて軽自動車を選ぶ人が増えていますが、避難先で車中泊をするのは自分1人とは限りません。家族やペット、親戚も一緒に車中泊をするかもしれません。

また天候が悪いときには1日中車の中で過ごすと言う可能性もあります。手足を動かしたり伸ばしたり、姿勢を変えたりするためのスペース(余裕)があるとエコノミークラス症候群になる可能性を防ぐことができる可能性もあります。

小さな車の中でずっと相手の顔を近くで見ている距離にいると精神衛生上もよくありません。いくら親しい家族とは言え、ストレスの影響で関係も少なからずギクシャクしてしまいます。

予算や使い道にもよりますが、荷物や食材などを保管できることなども総合的に判断して、「大きな車に買い替える」と言う選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。

段ボールで簡易ベッドを作る

段ボールは簡易ベッドになります。作り方は以下のサイトで確認ができますが非常に簡単です。

 参考:段ボールベッドの作り方

段ボールは災害時にも比較的手に入りやすいので、非常用に常備しておく必要はありません。そして、避難所などで使用する場合には、寝るときに床の冷たさが体に直に伝わることを防ぎ、床と段差があることで足腰の弱い高齢者でも起き上がることが比較的容易で、寝たきりになることを防ぎ、間接的にエコノミークラス症候群の予防にも繋がります。

避難所でのエコノミークラス症候群を防ぐための方法まとめ

避難所で長い避難生活を送る際には、エコノミークラス症候群にならないために以下のことに気をつけましょう。

  • こまめな水分補給
  • ふくらはぎのマッサージ、ストレッチなどの軽い運動
  • 足が伸ばせる環境を工夫して作る

実際の避難生活の中では「できることをできるだけ」行うよう心がけましょう。