海や川で溺れる、それは川遊びや海水浴などの楽しいときだけではありません。

台風のとき、外出先でのゲリラ豪雨などで川が氾濫したり、地震の後の津波に襲われたり、様々な水害を想定しておく必要があります。

そこで、ここでは川や海で流されたり溺れそうになったときの対処法をまとめます。

海や川での危険(海水浴、川遊び)

海や川では水の流れが早いところや急に深さが増すところなどがあり、その流れも複雑だったりします。

海の危険、川の危険をそれぞれ見ていきましょう。

海の危険『離岸流』の恐さ

真夏の海水浴シーズンになると、海水浴中の不幸な事故により多くの死亡者が報告されます。

楽しく波打ち際で遊んでいたら、急に早い潮の流れにあっという間に沖まで流されてしまう、そして最悪の場合には溺れて死亡してしまうと言う事故が後を絶ちません。

沖から陸に向かって吹く風や波の影響で海水はどんどん陸に打ち上げられます。その海水が沖に戻っていくときに突然「川」のように急激な流れを引き起こし、その流れに巻き込まれてしまうとあっという間に沖に流されてしまいます。

これを『離岸流』と言います。

離岸流に巻き込まれたときの対処法

離岸流のスピードは時速3.6~7.2kmで、これは水泳のオリンピック選手よりも早いと言われています。

と言うことは、ほとんどの人が離岸流に巻き込まれたら流れに逆らって戻ろうとしてもどんどん沖に流されると言うことになり、体力が尽きて溺れてしまう危険性があります。

離岸流に巻き込まれたときの対処法は主に以下の3つです。

  1. パニックにならない、落ち着く
  2. 流れに逆らわずに「岸と並行」に泳ぐ
  3. 流れから抜け出したら初めて岸に向かって泳ぐ

離岸流に泣き込まれると、みるみるうちに岸から遠ざかっていきますので慌ててパニックになりやすいと言われています。しかし、離岸流はその長さは数十mから数百mとあるのに対して、幅は10~30mと狭いのが特徴です。

流れに逆らって泳ぐよりも、岸と並行に泳ぐことによって流れから抜け出すことが容易ですので、もしも離岸流に巻き込まれてしまったら、まずは慌てずに岸と並行に泳ぎ、そして抜け出したら岸を目指すと言うことを覚えておきましょう。

川の危険『早瀬、淵(ふち)、中洲』の危険

川には『早瀬』と言われる推進は浅いのに流れな急なところがります。早瀬は推進が浅い分気持ちが緩み、足を取られて転倒し流されて溺れると言うケースが多く死亡事故も多く報告されています。

また、『淵』と呼ばれる流れが蛇行する部分では急に推進が深くなり、足を取られて溺れるケースが増えます。

『中洲』での事故も多く、新聞記事にもあるように急なゲリラ豪雨などで水かさが増して取り残されると言った危険なケースが起こりますので、中洲にテントを張ったり泊まったりすることは絶対にやめましょう。

中州でのキャンプは、急な増水で命の危険にさらされる可能性がある。今回の事故現場周辺のキャンプ場関係者は、中州でのテント設置や避難指示の方法など、運営会社の安全管理に疑問を呈した。専門家らも「中州は川底と同じ」として、安易な立ち入りに警鐘を鳴らしている。

「増水時に取り残される中州にテントを許可していたのは信じられない。安全配慮が足りなすぎだ」

事故があった河内(こうち)川の下流にあるキャンプ場の男性経営者(66)は、こう指摘する。このキャンプ場では中州でのテント設置を禁じ、川岸に設置されたつり橋や県道など、複数の避難経路が確保されている場所を指定している。  

被害にあった一家はキャンプ場内の店員に避難を促されたとされるが、男性経営者は「避難指示方法も含め、人災の側面があるのでは」と話した。  

別のキャンプ場の女性従業員(42)によると、平成11年、同じ神奈川県山北町の玄倉(くろくら)川が増水し、中州にいた13人が死亡した事故を受け、川面から数メートル高い位置にキャンプ場を移動させた。さらに「雨が心配な場合は社員が近くで寝泊まりし、避難誘導を行う対策もとっている」という。

海水浴や川遊びの最中、大人はアルコールを飲む機会も増えます。

万が一のことが起きても冷静な判断ができるように、アルコールの量にも気をつけましょう。そして、これは当たり前のことですが、車の運転(自動車、バイク、自転車など)をする人は絶対に飲酒運転にならないようにしましょう。

台風やゲリラ豪雨での洪水、津波

台風やゲリラ豪雨でに洪水、津波などの自然災害の危険が迫って来たら、どのように行動すればいいのでしょうか?

台風やゲリラ豪雨での洪水の場合

台風やゲリラ豪雨により洪水が起こると予想された場合、原則として「川や用水路などには絶対に近づかない」と言うことが基本です。

台風は発生したものによって大雨をもたらしたり、強風が吹いたり、その両方の脅威を持ち合わせていたり様々です。住んでいる地域が「台風の進路の右側」の場合強い風が吹き被害が大きくなる恐れがあるので、特に注意が必要です。

台風の影響で川の水かさが増し、洪水が起こる可能性がある場合にはむやみに外出することを避けましょう。自動車で移動する場合にも、雨が強くワイパーが利かなくなることもあります。見通しが悪いと危険ですし、高架橋などの下のくぼ地などでは水没の恐れがあり危険ですので、どうしてもと言う場合以外を除いては自動車でも外出することを控えましょう。

<参考記事>

また、台風が直撃するとその被害の大きさから食料品や衣料品などの買い出しができなくなったり、停電やガス・水道などのライフラインが止まってしまう可能性もありますので、非常食や衣料品のセットを準備しておきましょう。

ゲリラ豪雨の場合、今の技術ではなかなか具体的な発生場所を予想することはできません。

しかし、最近では都市部で熱せられた空気が上昇して巨大積乱雲(スーパーセル)を作り、集中豪雨や落雷、雹(ひょう)や突風などを起こすこともわかってきました。

気温が高かった数時間後に急に真っ暗になったり、冷たい風が吹き始めたらゲリラ豪雨となる可能性が高いので注意が必要です。

台風のときと同じく、ゲリラ豪雨となった場合、川には近づかないと言うのが大前提ですが、落雷の恐れもあることから頑丈な建物に入るなど身を隠すことができる建物に速やかに避難しましょう。

ただし、その場合、間違っても木の下などで雨宿りをしないようにしましょう。「側激雷」により感電し死亡する恐れがあります。

また、地下室や地下駐車場などに避難すると、流れてきた水が溢れて閉じ込められたりして危険です。なるべく高いところへ避難するようにしましょう。

地震による津波の場合

地震による津波の脅威は東日本大震災で誰もが知ることになりました。

大きな地震が起こると津波が発生する可能性があります。地震が自分の住んでいるところから遠いところで発生したからと言って、津波が来ないと油断してはいけません。

1960年5月のチリ地震では、地震発生から約22時間後に最大5mを超える津波が三陸海岸線を襲い、合計で142名の犠牲者を出すことになりました。

地震による津波で主に気をつけることは以下の6つです。

  1. 海沿いで地震に遭ったら津波が来ると予想して逃げる準備をする
  2. 津波警報に気をつける
  3. 津波の第1波が小さくても第2波、第3波が小さいとは限らない
  4. 遠くに逃げるより、高い建物(4階以上)に避難する
  5. 警報が解除されるまでは、勝手に高台を下りない
  6. 車での避難は避け、危ないと判断したらすぐに車を捨てて高い建物に避難する

実際に津波に流された場合、その対処法は今のところありません。

東日本大震災の際に運よく助かった方を見ても、そこから対策を考えると言うよりは「津波に流されないようにする」ほうが圧倒的に生存する可能性が高くなるからです。

しかし、もし津波に流されても比較的流れの緩い場所や障害物や捕まるところのない場所にいた場合には、次に説明する『浮いて待て』を実践してみてください。

今、世界が注目する『浮いて待て』とは?

海や川で溺れたとき、今世界では『浮いて待て』と言うスタイルが主流になりつつあります。

海や川で溺れてしまう理由

海や川で足を滑らしたり、深みにはまって溺れそうになると慌ててしまいます。そして息を吸おうと水面に顔を出そうとしたり、手を挙げて助けを呼ぼうとしますが、これは2つともやってはいけません。

そして、それこそが『浮いて待て』を推奨する理由となっています。

水面に顔を出そうとしたり、手を挙げて助けを呼ぼうとするとどういうことが起こるのか?箇条書きで見ていきましょう。

  • 顔だけ出そうとすると体は水面に対して垂直になるので、体は沈みやすくなる
  • 手を挙げて助けを呼ぼうとすると、同じように体が垂直になり沈みやすくなる
  • 体が沈むと一気に口から水が入り、呼吸困難になりパニックを起こす
  • パニックを起こすと余計に体は水平を保てず沈んで行く

こうならないためにも『浮いて待て』を覚えておく必要があります。

『浮いて待て』とは?

東京消防庁によると、平成25年中に119番通報がされてから要請場所に到着するまでの時間は平均で7分55秒といわれています。

もし海や川で溺れてしまった場合、第3者が通報して約8分間、自分で命を繋げる必要があります。無理をして泳ごうとすると溺れてしまったり、体力を使てしまい、その結果溺死してしまいます。

そうならないためのキーワードが『浮いて待て』なのです。

人間は息を吸って水の中に入ると、体全体の2%は水から浮くようにできています。そこで重要なのは、体のどの部分の2%を水から出すかです。

手を挙げてしまうと、その「挙げた手」が2%になってしまい、顔を含めたその他の部分が沈んで溺れてしまいます。最も効果的な姿勢は「背浮き」と呼ばれるもので、少し練習をすれば誰でもできるよになります。

NHKオンラインの中で、長岡技術科学大学の斎藤秀俊氏は、この背浮きの姿勢についてこう述べています。

普段着の状態で溺れそうになったとき、背浮きという状態で呼吸を確保しながら、救助隊による救助を待つ訓練です。陸上にいる目撃者は消防119番や海上保安庁118番に通報し、浮くための補助となるペットボトルなどを投げて渡します。そして、「ういてまて」と叫んで、背浮きをしている人を励まします。

ういてまて教室では、急な深みにはまったときの対処法も教えます。 プールの中に段を作り、段から深みに沈む状況を作ります。児童が一度沈みますが、両手をはばたくように使い、浮きあがり、そして背浮きの状態に回復する様子がわかるかと思います。これで一人目が背浮きに移ることができれば、第二、第三の犠牲者をなくすことができます。 この背浮きですが、少し練習すれば誰にでもできます。

人間は、胸に息をためていれば、真水より軽くなり浮きます。水着の状態だと、足の方が重くなるので、足から沈みます。普通の運動靴やサンダルは水に浮きますので、運動靴やサンダルを履いたままにすれば、浮力のバランスが取れて、水面に浮くことができます。顎をややあげて腰が水中に落ち込まないようにします。両手は広げ気味にします。息は常にためて、呼吸するときは素早く行います。誰かに声をかけられても返事はしません。声を出すと胸の空気を失います。

画像引用元:日経DUAL『溺れた時「助けて」と叫んではダメ。ではどうすれば?』より

さらに体を浮きやすくするために使うものとは?

服を着ていているとき川や海に落ちてしまったら、『浮いて待て』の姿勢をさらに保ちやすくするものがあります。

それは「靴」です。

靴の中には若干の空気が入っていて、履いたままであれば足が浮くのに十分な浮力を得ることができます。ですから、もしも溺れてしまったとしてもパニックになって靴を脱がないようにしましょう。脚が浮けば体は水面と並行になりやすくなりますので『浮いて待て』の姿勢が保ちやすくなります。

そして、さらにリュックなどのバッグを背負っていればさらに浮きやすくなります。特に小学生などはランドセルが浮き具代わりになりますので、誤って海や川に落ちても絶対にランドセルをお腹で抱えて浮くようにしましょう。

今ではファッション性も兼ね備えた防水性の高いリュックも販売されていますから、海や川に近いところに住んでいるお子さんなどには持たせてあげたいですね。

また、背浮きと呼ばれる姿勢は「仰向け」の姿勢なのですが、慣れないとなかなかうまくいきません。そのときは体を「星型」のイメージで手足を目一杯開いて浮くと楽に浮くことができます。

海や川で溺れそうになったときの対処法まとめ

海や川で溺れそうになったとき、いずれの場合も共通していることは「慌てない、パニックにならない」と言うことです。

そして、もしも衣服を着ているときに海や川に落ちてしまったら、靴やリュックなどを浮き具代わりに使い『浮いて待て』を実践しましょう。消防隊員などの助けが来るまでの約8分間を耐えることができれば生存確率は急激に高まります。

もしものときに備えて心も装備も準備しておくことは大事ですが、その前に、危ない場所には近づかないと言う根本的なことも覚えておきましょう。

もしものときの救命補助グッズ「キンジー」とは?

最後に、海や川で溺れてしまったとき、手首のハンドルを開くだけで簡単に浮袋を発動させることができる「キンジー」をご紹介します。